ごまたまごの中毒性とあの日見たプロレス

貯めに貯めた書類を提出し、上司の嫌そうな顔から逃げるようにして東京旅行に行ってきた。罪悪感などごまたまごの前では無力なのだ。ごまたまご美味しい。完全食。2日ほどごまたまごしか食ってなかった。 加えて思春期特有の行動力を兼ね備えた今のおれは無…

ゆきゆきて港区

せっかくコミケに行ったので新幹線のなかでコミケのことを書こうと思ったけれど、疲れと眠気で頭が回らないし何が言いたいのか自分でもよくわからないので、ホテル周辺を散歩した時の無作為なメモの内容を貼ることにする。tokyoは不思議な街ですね。住みたく…

涙の焼肉

高校野球が盛り上がっているらしい。野球に興味がなくともそのくらいは伝わってくる。地元の県の優勝校なんて今調べて初めて知った。県の野球連盟に58校が加盟しているので、優勝校以外の57校が涙を呑んだことになる。最低でも9人×57校の513名が夏の過ごし方…

防波堤の案山子

Q.日記と手記を履き違えていませんか A.そんな事より公園にカイリュー出たってよ! 海に行った。炎天下の砂浜は尋常じゃないくらい暑く、足の裏がくっつきそうになる。めちゃ痛い。なのでずっと平泳ぎしていた。おかけで背中が日に焼けてヒリヒリする。海で…

思春期の椅子

社会人になって2度目の夏になる。ぎこちなさもとうに抜け、去年の今頃はといった感慨も特にない。より充実した生活を送るべく、これまでにいくつもの習慣が生まれては消えていった。揉み合い圧し合い擦り合せて残ったのは、使いどころのない瓶詰めのチリソー…

外の人

おれの見る夢にはデパートがよく出てくる気がする。今日見た夢にも出てきた。小さい頃祖母によくデパートに連れて行ってもらったものだ。たぶんそれに起因している。祖母も出てきたし。 夢から醒めたあとはいつも、夢の中で会った人に会いたくなる。何だか急…

10分間の菩薩

日記を書くといった翌日に寝落ちしてさっそく書き損ねた。しょうがないじゃない。夜勤だもの夜勤は疲れる。どれくらい疲れるかというと、今これを書いている時ももう夜という字がゲシュタルト崩壊を起こしているほどだ。そのまま遊びに行こうものなら、行き…

ていうかもう寝よう

久しぶりに自分の為だけに文章を考えてみる。会社の報告書や日誌とは違う、何の損得もない文章だ。自分の為だけの文章は、誰の顔色も気にしなくて良いはずなのに、浮かんだことを片っ端から書いていけばいいはずなのに報告書や日誌よりスラスラとはいけない…

乾いた皇帝

不時着した惑星にはペンギンがいた。ものすごい数のペンギンがいた。しかし彼らと共に過ごすうちに徐々に違和感を覚えはじめた。彼らは狩りをするでも繁殖するでもなく、ただそこらじゅうをうろうろするだけなのだ。銅の丘を登り、同胞と肩を寄せ、首を上げ…

仄暗いお湯の底から

この仕事を始めてからというもの、頭の中が詰まっているようだった。これは別に、元々すっからかんの僕の脳みそが有意義で効率的に機能しはじめた、という日々充実してることへのへたくそな比喩なんかじゃない。まるで脳みその皺の間にしこりができているよ…

ハリボテエナジー

効率的な配置のされたこの棒っきれは、雨風も凌げないハリボテであるにも関わらず一人前に塔の名を冠している。鋭く天を刺すような頂きはあらゆる人間を拒み、塔に登ることの単純な高低差というイニシアチブや恩恵を得ることを許さない。唯一の材料である鉄…

DNA

枕の傍の小窓から光が差した。瞼ごしに眼球を撫でる白の色が、瞼の裏の流れる血潮を透き通らせる。陽の光を受けた顔面が、視神経、皮膚、毛穴、鼻の内側のうぶ毛を通して朝の訪れを感じ取り、体全体に報せていく。シャッターの下ろされた脳が徐々に覚醒し、…

クールタイム

「雑草はどこから生えてくるんだろう」 うだるような午後の日差しに背中をじっと見張られながら、軍手にこびりついた茶と緑の色を見つめて独りごちる。むせるような、種類も知らぬ草の匂いを嗅ぎすぎて感覚が麻痺したのか、僕が知っている雑草の何たるかが…

ルービックカスタム

おばあさんが一人で切り盛りしている商店というものに、幻想を抱いていた。こういうもんだ、こうでなくちゃ、こうあるべきだ。それが当たり前とずっと思っていて、その勝手な想像はとても傲慢な一方通行の要求になる。いったい何様のつもりなんだろう。店の…

ネックサイド・アプローチ

その日はとにかく寒かった。今冬最大の寒波だって街頭のテレビもラジオも騒いでる。けど、そんなのは家に帰ってこたつなりストーブなり点ければ吹っ飛ぶ話だ。対して俺は暖房のある店に入るかドラム缶のたき火の輪に加わるかしないと体を暖めてやれない。ベ…

ロックンロール・ラジオ

キーボードに置いた手が止まってから、一体どれほどの時間が経っただろう。目の前のノートパソコンは、文章作成のためのソフトを起動している。変わらない画面でひたすら文字の入力を待ち続ける姿は、主人を待つ忠犬を連想させた。実際は噛み犬に等しい悩み…