ゴールのGはグレイヴのG

初めてひとりで墓参りに行った。実家から15分ほど歩くとうちの墓がある。雑草を取り、枯れた花を捨てて新しい花を入れてやる。墓石の上から水をかけて線香を焚き、両手を合わせる。自分がいずれこうなるという、終着点が目の前にあるわけだけど、先のことすぎて特に何も思わなかった。ただ、この小さな国がお墓で埋め尽くされないのが、なんだか勘定が合わない気がした。夕方に行ったのだけど、シャツの襟は汗に濡れて、帰る頃には墓石はすっかり乾いて触ると火傷してしまいそうだった。
来世は線香屋さんになりたいと思った。

 

帰り道に終着点、ゴールについて考えていた。

誰しも人生のゴールを目指すわけだけど、やっぱり最後のゴールを考えすぎると変なところに力が入ってうまく立ち行かなくなるというか、とりあえずは今ある目先のゴールを積み重ねるのが精神的にもいいのだろう。だから日記を始めたわけだから。
小さな事からコツコツと。目標を低く見積もって、とりあえず今日を生きてみる。たとえ明日死にたくなるようなことがあっても、今日のところは生きてみよう。とりあえず明後日まではがんばって生きてみよう。ヴィンランドサガの最新刊が出るから。
ゴールを設定せずに日々生きているので、いざ考えてみるとどういうことを目標にしていいのか分からない。仕事を頑張るとかいう優等生の背中には蹴りを入れてやるとして、何がいいだろう。今日こそはあの子の連絡先を聞くとか?でもそんな子はいない。積んでたゲームや本をいつまでに片付けるとか?いずれ苦痛に変わるからやめておこう。お金を貯める?給料明細を即ゴミ箱に捨てるほどおれの中の思春期が膨張してきているのでやりがいがない。


あれこれ考えてみたけど結局、こうして日記を書くのが精いっぱいだということらしい。少なくとも達成感はあるので、おれがすべきなのはこれを継続させる努力だ。

最終的にどこに行くのか、どこにも行かないんだろうけど、何もしないよりかは生活に張りが出ている。届きそうにない目標に全てが嫌になってしまうよりは、今の方が良いと思っている。