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坂の上は晴天

夜中に目が覚めてから、ぼんやりとゲームをしていたら朝になっていた。鏡の前に立つと関羽みたいなヒゲ面だったので、ハサミでざっくばらんに切ってみると、だいたい張飛のヒゲぐらいになった。

案外こんなもんでも形になるもんだなあと感心してから、やることもなく、天気が良いので散歩に出かけた。花粉はそんなに飛んでいなかったけど、やや気温が高いのと運動不足だった為に帰る頃には汗だくになっていた。パーカーはもう秋まで着ることはないだろう。

 

途中、煙草屋に隣接された喫煙所が日陰になっていたので休憩していると、園児たちが前の通りを横切っていった。園児の1人がこちらに手を振ったので、おれはなぜか反射的に会釈をしてしまった。余裕の無さなのだろうかと考えたりした。

 

キリン柄のショベルカーが瓦礫の含んだ土を移動させていた。はじめはチーター柄かと思ったが、長いショベルのアームから察するにキリンなのだろう。ちゃんと考えれば、チーターの模様とキリンの模様はけっこう違う。たぶん寝ていないから頭が働いていないのだ。


信号待ちをしていたら霊柩車が通った。ちょうどその時、両の親指だけポケットに入れていたので間一髪難を逃れた。そういう迷信はあまり信じないようにしているが、気にはなる。


散歩ついでに駅で用事を済ませたあと線路沿いを歩いていたら、すぐそばを貨物列車が走っていった。なんとなく、客を乗せた鈍行の電車とはまた違う独特な音のような気がする。生まれ育った実家は駅が近かったので、皆んなが寝静まった夜は特に、貨物列車の音がよく聞こえた。年中家のどこにいても聞こえていたけど、うるさいと思ったことはなかった。

この音を聞きながら育ったなあと郷愁に浸ったりしながら帰り道を歩いていると、また別の霊柩車とすれ違ってしまい、すぐに気持ちが萎んでいった。

 

帰るには、急な坂を登って行かなければならず、それに、日差しはこれからが1番高くなる時間だった。くらくらとした頭で、発泡酒でも買おうかなと思った。